レイズドベッドとは、草花や野菜・果物を育てるための手法のひとつです。

プランターに植物を植える「プランター栽培」、地面に直接植物を植える「露地栽培」。この2つの良いとこ取りをした手法こそ「レイズドベッド」です。

一般家庭における家庭菜園に取り入れられることの多く、オシャレな見た目と高い実用性を兼ね備えています。

今回はレイズドベッドによく採用される素材である「木」の耐久性に着目してみたいと思います。

果たして「木」で作られたレイズドベッドの寿命はどれくらいなのでしょうか?

レイズドベッドと木の相性は最悪?

レイズドベッドの素材として大変人気のある「木」ですが、実はレイズドベッドと「木」の相性は決して良くありません。

「木」は水に触れることで腐食が進み、また屋外の使用においてはシロアリに代表される虫害を受けることもあります。

つまり、「木」は屋外で風雨に晒され、常に水分を持った土に触れている環境に非常に弱いと言えます。

それではなぜレイズドベッドの素材として「木」が選ばれるのでしょうか?

それにはこんな理由が挙げられます。

  • 見た目がオシャレ
  • 塗装が容易
  • 加工が容易
  • 価格が安価
  • 組み立てが容易
  • メンテナンスが容易
  • 自由な大きさにできる

「木」をレイズドベッドの素材として考えた場合、耐久性を除けば100点満点の素材と言って良いでしょう。

木のレイズドベッドの寿命

それでは木のレイズドベッドの耐久性、つまり寿命はどれほどのものでしょうか?

実は一言に「木」と言っても、その条件は多種多様で一様に語ることはできません。

そこで、木のレイズドベッドの寿命を考えるための3つの重要なポイントを解説します。

1.木の種類

1つ目のポイントは「木の種類」です。

例えば、杉(すぎ)や桧(ひのき)、松(まつ)といった針葉樹は比較的安価で流通量が多く、DIY全般でよく利用されます。

逆に、楢(なら)や樟(くす)、欅(けやき)といった広葉樹は高価で流通量が少ないです。こうした広葉樹の木材は、針葉樹に比べて硬く耐久性にも優れ、見た目も美しいことからテーブルやイスなどの家具に使用されます。広葉樹は価格が非常に高価ですので、レイズドベッドの素材として使用されることはほとんどありません。

日本国内ではホームセンターで安定して流通することもないため、広葉樹は除外して考えていきましょう。

更に、同じ種類の木であっても中心に近い「心材」と外周に近い「辺材」では水への耐性が異なります。杉や松と一言に言っても、更に細かな樹種の分類があり、耐久性にも差があります。産地によっても差があることが知られていますが、こうした細かな要素も一旦除外して考えてみましょう。

一般的な木材をレイズドベッドとして使用した場合の耐久性の目安は以下の通りです。

後述する「木の厚み」よって大きく変動する点に注意してください。

木の種類寿命(防腐剤なし)寿命(防腐剤あり)
5年7年
10年15年
松・パイン7年10年
SPF5年7年
ホワイトウッド5年7年

SPFやホワイトウッドは輸入木材の代表的な存在です。

一般的にツーバイ材やワンバイ材はSPFかホワイトウッドであることが多いです。

なお、国内ではほぼ流通のない高耐久の樹脂やガルバリウム鋼板製のレイズドベッドの寿命は30年~40年と言われています。

2.木の厚み

2つ目のポイントは「木の厚み」です。

レイズドベッドは中に大量の土を入れるため、その構造を支える木には大きな負担がかかります。(土圧)

この負担に耐えるために、レイズドベッドには比較的厚みのある木材が使用されます。

もちろん適切に補強を入れることで薄い木材を使用することもできますが、薄い木材を使用することで結果的にレイズドベッドの耐久性・寿命が短くなってしまいます。

例えば、このようなレイズドベッドがあったとします。これはレイズドベッドの断面図です。

側面の木材が腐食してしまった場合を考えてみましょう。

木材は内側・外側の両方から腐食が進みますが、ここではわかりやすく内側から腐食が進んだ状態を示します。

ご覧の通り、内側から腐食が進み木がボロボロになってきます。

上の画像ではまだ健全な状態の木材が残っているため、レイズドベッドとして機能していることがわかります。

もしこの木材がもっと薄いものだったらどうでしょうか?

ご覧の通り、木材が薄ければ薄いほど寿命は縮んでしまうのです。

先ほど、杉のレイズドベッドの寿命は防腐剤なしで5年と記載しましたが、厚みが薄ければ3年程度で寿命を迎えてしまうでしょう。

逆に、十分な厚みさえあれば寿命は更に延びることになります。

具体的には30mm以下の厚さは薄いといえます。レイズドベッドに使用する場合には35mm以上の厚みがあると良いでしょう。

逆に、75mmや90mmといった厚みになると寿命はぐっと長くなります。

3.防腐処理(防虫処理)

3つ目のポイントは「防腐処理(防虫処理)」です。

木を屋外で使用する場合、よほどのことがない限り防腐剤を塗布します。

あるいは防腐剤が塗布されたものや、加圧注入と言って防腐剤がしっかり浸透した木材を使用します。

防腐剤には一般的に防虫成分も含まれており、シロアリなどの虫害から木を守ってくれる効果があります。

一般的に、屋外で使用する木材には防腐剤を定期的に塗布します。

しかし、レイズドベッドの場合には中に大量の土を入れて野菜や草花を栽培するため、定期的に防腐剤を塗布することが困難です。

それでも防腐剤を塗布するだけで寿命は非常に長くなります。

例えば、厚さ10mmの杉板を使用したレイズドベッド(日本国内)では、一般的な寿命である3年を越えても腐食や劣化の様子が全く見られなかったことが報告されています。

結論

日本国内で入手性が良く、供給が安定しており、価格も安い木材といえば2×4材に代表されるツーバイ材です。

ツーバイ材は38mmという厚みがレイズドベッドにも必要十分であり、我々レイズドベッド普及委員会の解説する「最もコストパフォーマンスに優れ、見た目もオシャレなレイズドベッドの作り方」の中でもツーバイ材が採用されています。

ツーバイ材の素材はSPFであることが多く、SPFの耐久性は先述の通りかなり低い部類です。

しかし、38mmという厚みと防腐剤を塗布することで10年程度は長持ちするようになります。

レイズドベッドの使用環境や、防腐剤が適切に塗布されていることなど条件によって寿命は上下することを留意してください。

木のレイズドベッドの寿命は100年を越える!

これまで木のレイズドベッドの耐久性や寿命について説明してきました。

しかし、非常に重要なポイントが抜け落ちています。

このポイントさえ理解していれば、木のレイズドベッドは50年だろうと100年だろうと寿命を伸ばし続けることができるのです。

素晴らしいメンテナンス性

そのポイントこそ、木のレイズドベッドのメンテナンス性の良さです。

樹脂や金属製のレイズドベッドが破損・劣化した場合、基本的に修理したり根本的な解決策がありません。

しかし、木のレイズドベッドならどうでしょう?

こちらのイメージをご覧ください。木の腐食が進行し、矢印で示した部分がボロボロになって穴が開きそうです。

これが樹脂や金属製のレイズドベッドであれば打つ手なしでした。

しかし、木のレイズドベッドなら問題の出た木材だけ交換すれば良いのです。

元々10年もつ木材であれば、交換することで更にプラス10年の寿命を得ることができるわけです。

木のレイズドベッドは、それぞれの部品がネジで固定されているだけですから、簡単に交換することができるのです。

もちろん、木工用ボンドなどを使用して接着してしまうと簡単にメンテナンスを行うことができません。

そのため我々レイズドベッド普及委員会が推奨する、木のレイズドベッドの自作手順のなかではボンドの使用を推奨していません。

まとめ

「木」は、必ずしもレイズドベッドの素材として最適とは言えません。

風雨に晒され、日を浴び、湿った土と常に触れ合う環境では木の腐食が急速に進みます。

しかし、防腐処理と適切な厚みの木材を使用することで、10年程度はメンテナンスフリーで使用することができます。また、木の経年劣化は必ずしも悪いものではなく、見た目がより趣深いものになります。

もし木の腐食や虫害といった劣化が進み、穴が開いたり破損してしまっても、破損した木材だけを入れ替えれば良いのです。

こうしたメンテナンス性の良さは、事実上の長寿命・高耐久と言い換えることが出来ます。

冒頭で説明した通り、レイズドベッドの素材としての「木」は耐久性を除けば100点満点です。

これに加えて10年ごとにメンテナンスすることを厭わなければ、唯一の課題だった耐久性もクリアすることができます。

これこそが、「木」がレイズドベッドの素材に選ばれる理由なのです。

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